兼務で回るPSIRT最小体制
(1〜3人兼務・役割分担)
「PSIRT体制を作れ」「脆弱性の影響有無を報告しろ」——OEMからの要求が強まる一方、Tier2〜Tier4の現場では専任のセキュリティ担当を置けないのが普通です。
結論から言うと、PSIRTは“人を増やす”より先に、役割と手順を固定すれば、1〜3人の兼務でも回ります。
この記事では、兼務前提で破綻しない「最小体制」と「回し方」を具体化します。
最小PSIRTは「4役」で考える(人数ではない)
PSIRTを“チーム”として考えると重くなります。まずは役割(ロール)に分解します。最小構成はこの4役です。
- 受付(窓口): OEM照会・脆弱性報告を受け、期限と対象を管理する
- 技術評価: 影響有無(どの製品・どの版数・到達性)を判断する
- 対外回答: 回答書を「結論→根拠→対応方針」で整形する
- 承認: 社外に出す最終判断を承認する(品質/管理職)
重要なのは「4人必要」ではなく、1人が複数役を兼ねてもよいが、役割の切り替えは曖昧にしないことです。
(例:受付の人が“自分で影響あり/なしを決めてしまう”と、後で説明が崩れます。技術評価は一言でもよいので、必ず技術根拠を残します)
1人・2人・3人の役割分担(推奨パターン)
| 人数 | 受付 | 技術評価 | 対外回答 / 証跡 | 承認 |
|---|---|---|---|---|
| 1人 | 兼務 | 兼務(一次) | 兼務 | 上長(最終だけ) |
| 2人 | 人A | 人B | 人A | 上長 |
| 3人 | 人A | 人B | 人C | 上長 or 人C |
ポイント:人数が増えるほど「対外回答+証跡」を独立させると、監査で強くなります。
まず最初に決める3つ(これがないと必ず止まる)
1) 窓口を1つにする(入口の統一)
- 専用メール(例:psirt@)かフォームを1本化
- 個人メール転送は禁止(引継ぎ不能になる)
2) 期限の“社内SLA”を置く(厳密でなくてOK)
兼務でも置ける最小SLA例:
- 受領確認: 1営業日以内
- 一次回答: 影響あり/なし/調査中を3〜5営業日以内
- 最終回答: 証跡込みで10営業日以内(案件で調整)
3) 「調査中」を許可する(一次回答の文化)
期限内に100%確定できない案件は普通にあります。そのときは「調査中+次回更新日」を返す型を作るだけで、炎上が減ります。
1人兼務で回す(最小モデル)
1人の場合、現実には「受付=対外回答=技術評価(一次)」になります。破綻させないコツは、“決めることを減らす”ことです。
やること(週次ルーチン)
- 週1回、脆弱性/照会を一覧で確認(30分)
- 影響判定を「対応必須/要確認/対応不要」の3段階で仮置き(30分)
- 要確認だけを設計担当に聞く(テンプレで質問)(随時)
- 回答は「調査中+次回更新日」を先に返す(一次回答)
1人モデルの必須ルール
- チケット化(案件ID・期限・対象版数・結論・根拠)
- 承認者を必ず1人立てる(最後だけ上長に通す)
- 証跡の保存先を固定(フォルダ構成だけ先に作る)
すぐ使える:一次回答テンプレ
2人兼務で回す(実務で一番多い)
2人になったら、役割を分けて“ボトルネック”を消します。
- 人A: 受付+対外回答(品質/情シス兼務)
- 人B: 技術評価(設計/ソフト)
2人モデルの運用ポイント
- 週1の“15分定例”を固定(期限と要確認だけ確認)
- 技術評価は「影響あり/なし」と「根拠の一言」だけ返す(長文禁止)
- 回答書はAがテンプレに流し込む(形式の標準化)
- Aは証跡を“集める”のではなく“置き場所を決める”(保管先URLを回答書に書けるように)
3人兼務で回す(監査・是正まで安定)
3人確保できるなら、対外回答を品質に寄せると監査で強くなります。
- 人A: 受付(期限・範囲・提出形式)
- 人B: 技術評価(影響有無・対策方針)
- 人C: 対外回答+証跡(回答書・添付・保存先管理)
- 承認: 部長/課長(AまたはCに承認権限)
3人モデルの強み
- 技術評価(B)が“判断だけ”に集中できる
- 証跡(C)が散らばらず、監査に耐える
- 追加質問が来ても、回答書と証跡が同じ場所にあるため再炎上しにくい
兼務でも事故らない「5つの成果物」(最小セット)
人数より、最初に“型”を作る方が効きます。最低限、次の5つを用意してください。
- PSIRT窓口(メール/フォーム、受付テンプレ)
- 対象製品と版数の一覧(どこまでが対象か即答できる)
- 影響判定テンプレ(結論・根拠・次回更新日)
- 回答書テンプレ(OEM向け:結論→根拠→対応方針→証跡)
- 証跡フォルダ構成(依頼原本/調査/回答書/提出履歴)
立ち上げ初週のチェックリスト(まずはここまで)
- 窓口メール/フォームを作る
- 上長の承認ルート(A)を決める
- 受領確認・一次回答のSLAを決める
- チケット(案件台帳)の必須項目を決める
- 証跡フォルダの雛形を作る
- 一次回答テンプレを共有する
自社に必要なPSIRT立ち上げ・運用設計を整理したい方はご相談ください。
無料オンライン相談よくある失敗(兼務PSIRTが止まる原因)
- 受付が個人メールで、引継ぎ不能になる
- 対象版数が毎回揺れて手戻りする
- 「影響なし」を根拠なしで返し、追加質問で炎上する
- 調査中を出せず、期限を超える
- 証跡が散らばり、監査で再現できない
FAQ:兼務PSIRTのやり方
回ります。まずは「4役」を決め、1〜3人で兼務しても役割が混ざらないようにすれば成立します。
言い切る前に、根拠(対象外、実行経路にない、到達不能など)を一言で残してください。根拠が残らない“影響なし”は後で必ず崩れます。
一次回答として「調査中+次回更新日」を先に返すのが現実解です。黙るより、状態と更新予定を示す方が信頼を落としにくいです。
専任担当がいなくても、PSIRTは回せます
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